天照大御神(アマテラスオオミカミ)
月読命(ツクヨミノミコト)
建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)


 黄泉の国から帰った伊邪那岐命(イザナギノミコト)は体を河原で清めます。
その時に十二種の神々が生まれました。

 その後左目を洗った時に天照大御神(アマテラスオオミカミ)。右目を洗った時に月読命(ツクヨミノミコト)。そして鼻を洗った時に建速須佐之男命(タケハヤスサノオノミコト)が生まれました。

 そしてアマテラスには高天原(たかまのはら)(=天の世界)、ツクヨミには夜の世界、スサノオには海の世界をそれぞれ治めるように言いつけました。 

 しかしスサノオだけは海の世界を治めようとせず大泣きして反抗します。成人しても泣きわめいているので、イザナギがどうして泣いているか問いただすと、スサノオは『母のいる黄泉の国へ行きたい』と言いました。それを聞いたイザナギは怒ってスサノオを追放します。

 スサノオは姉のアマテラスにお別れをしてから黄泉の国に行こうと考えます。しかしアマテラスはスサノオが高天原を奪いにきたと思い、男の服装で弓矢を構え待ち受けます。そこで誤解を解くためスサノオは、ウケヒ(宇気比、誓約)をしようといいました。

 二神は天の安河を挟んみ、まず、アマテラスがスサノヲの持っている十拳剣(とつかのつるぎ)を受け取ってそれを噛み砕き、吹き出した息の霧から三柱の女神(宗像三女神)が生まれた。

 次に、スサノオが、アマテラスが持っていた「八尺(約2.4メートル)の勾玉(まがたま)の五百箇のみすまるの珠」受け取ってそれを噛み砕き、吹き出した息の霧から以下の五柱の男神が生まれた。

 アマテラスは、後に生まれた男神は、自分の物から生まれたから自分の子、先に生まれた女神はスサノオの物から生まれたから、スサノオの子だといい、スサノオは、自分の心が潔白だから私の子は優しい女神だったと言い、アマテラスはスサノオを許します。

 しかし、その後スサノオは姉の田んぼをこわしたり、水路を埋めたり、御殿に大便をしたら暴力ばかりはたらくのです。それでも姉のアマテラスは『かんがえがあってのことだ』と、スサノオのことを大目にみます。

 その後スサノオは、神の衣服をつくる機織り小屋に、皮を剥いだ馬を投げ込み、驚いた機織りの少女が機織り機で陰部をさして死んでしまいます。

 あまりにのことにアマテラスは天の岩屋(あめのいわや)へはいって、石の戸をしめてしまいます。太陽の女神アマテラスが岩屋へかくれたため、悪いことばかりがおこります。

 岩戸隠れ

 天の安河原(あめのやすのかわはら)に大勢の神があつまりどうするか考えます。そこで知恵者の思金神(オモイカネノカミ)の案で様々な儀式をするのです。

 声を聴いた天照大神は何事だろうと天岩戸の扉を少し開け、「自分が岩戸にこもって闇になっているというのに、なぜ、アメノウズメは楽しそうに舞い、八百万(やおろず)の神は笑っているのか」と問うた。

 アメノウズメが「貴方様より貴い神が表れたので、それを喜んでいるのです」というと、アメノコヤネとフトダマが天照大神の前に鏡を差し出した。鏡に写る自分の姿がその貴い神だと思った天照大神が、その姿をもっとよくみようと岩戸をさらに開けたとき、隠れていたアメノタヂカラオがその手を取って岩戸の外へ引きずり出しました。

 すぐにフトダマが注連縄(しめなわ)を岩戸の入口に張り、「もうこれより中に入らないで下さい」といった。こうして天照大神が岩戸の外に出てくると、高天原も葦原中国(あしはらのなかつくに:高天原と黄泉の国の間にあるとされる世界、すなわち日本の国土)も明るくなった。

 八百万の神は相談し、スサノオに罪を償うためのたくさんの品物を科し、髭と手足の爪を切って高天原から追放した。追放されたスサノオは、葦原中国(あしはらのなかつくに)へ降りたった。

八俣遠呂智(やまたのおろち)

 スサノオは出雲に降りたった。すると川から御飯をたべる箸(はし)が流れてきたので人がいると思い歩いていく。すると少女と老夫婦が泣いている。老人は『私には八人の娘がいたが、八岐大蛇(ヤマタノオロチ)という大きな蛇に、毎年独りずつ食べられ、残るは櫛名田比売(クシナダヒメ)だけとなり、この娘も食べられると思うと泣いている』というのです。

 スサノオは『どんな姿の大蛇なのだ』と尋ねると、『真っ赤な目で、体が一つなのに頭が八つ、尾も八つあります。体全体にコケや杉などが生え、その長さは八つの谷と山に渡るほど長いのです』という。

 老人の話を聞いたスサノオは、『俺が退治してやるから、娘を妻にくれないか』という。老人はアマテラスの弟ときき、娘を差し上げることにする。

 スサノオは、老夫婦に命じ、長いさくをつくり、そこに八つの門を作らせた。門ごとに、桶を置き、強い酒をたっぷり入れさせた。

 やがて現れたヤマタノオロチは酒の匂いに誘われ、首を突っ込んで飲み始めた。やがて酔いがまわりヤマタノオロチはどったりとのびて寝てしまった。

 これをまっていたスサノオは、八つの首と体をズタズタに切り裂いた。みるみる血があふれだし、簸川(ひのかわ)は真っ赤にそまった。

 スサノオが尾を切るとき、カチィッと音がして、剣がかけてしまった。探って見ると中から素晴らしい剣が現れた。そこでスサノオは、この剣をアマテラスに差し上げた。後に、ヤマトタケルノミコトの手に渡り、草薙剣(くさなぎのつるぎ)と呼ばれるようになる。

 ヤマタノオロチを倒したスサノオは、クシナダヒメとともに出雲の須賀(スガ)に住むこととなった。それはスサノオが、『この土地にきて、心がスガスガしくなった』と言ったことに由来するという。


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